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モーショングラフィックスを会社で内製化するには?採用と育成から考えます
「社内で販促用として動画制作を指示されたが、どうしたらいいかわからない」「自社のサービスは無形。撮影するものもないからどうしたものか」「図解でうまく説明しながら動画制作を考えているが、どうやってやるの?」社内でモーショングラフィックスを内製化するにはどうしたらいいかお悩みではありませんか?
今回は、社内でモーショングラフィックスを内製化するにあたり、人材の採用・育成についてライター・杉本さんと対談形式でお話しさせていただきます。
杉本:ライティングファーム紡 ライター
北川:株式会社1コマ 代表
そもそもモーショングラフィックスは内製化できるの?
杉本:動画制作は専門的な知識が必要な分野だと思います。「社内で制作してほしい」と言われたからといって、モーショングラフィックスを内製化できるものなのでしょうか?
北川:結論から言うと、できます。たとえば独学で動画制作のスキルを学び、YouTubeやX、Instagramなどに投稿している方もたくさんいらっしゃいます。近年では動画制作に対するハードルも下がってきて、「できる人」が増えてきました。母数が増えた分、社内で取り組める可能性が高まったと言えます。
社内でモーショングラフィックスを内製化する場合、広報担当部の既存メンバーが兼任で制作を行うケース、または専任でインハウスクリエイターを置くケースが見られます。たとえば広報担当者の方であれば、SNS投稿など発信業務の一部を使い、動画制作を担います。インハウスクリエイターであれば、専任として勤務時間をフルに使って社内の販促物などの制作を行うことができます。
杉本:ちなみに、「インハウスクリエイター」とはどんな方のことを指すのでしょう?
北川:インハウスクリエイターとは、制作会社やフリーランスとして活動するクリエイターと異なり、一般の事業会社でクリエイティブ業務を行う人のことを言います。その会社が扱う商品やサービスの販促や社内共有に必要なチラシ、パンフレット、各種資料、動画などを制作します。
ITの普及に伴い、今やどの企業でもSNSなどを使った情報発信が当たり前の時代になりました。SNS発信を継続的に行わなければいけない…各企業でそういう意識が高まっていることもあり、インハウスクリエイターの数も増えてきていますね。
クリエイター側から見ても、ワークライフバランスの充実のため、インハウスクリエイターを志望する人も増えていますよ!
モーショングラフィックスによる動画制作は無形サービスの企業様にもおすすめ
杉本:モーショングラフィックスはどんなシーンで使われるのでしょう?
北川:モーショングラフィックスは、特に実写で撮影できない場合に使われることが多いですね。たとえばプライバシーや特殊な職種といった理由から従業員の方々を映すことができない、離職率が高く人材の流動が激しい、機密性が高い商品を扱っているなど。この他には、コンサルティング会社、アプリ制作会社など無形のサービスを扱っている企業様なども、モーショングラフィックスとの親和性が高いと思います。
例えば図解やシンボル化などがしやすいのはモーショングラフィックスの強みの一つです。一方で、実写の良さを表現できるものとして、食べ物や店舗、空間などがあります。本物を撮影することで、その魅力を全面にアピールすることができるんです。実写もモーショングラフィックスも、どちらにも良さがあって、うまく使い分けられたらいいですね。
杉本:モーショングラフィックスは、無形のサービスであっても動画を制作できる、役立つ存在なのですね!
北川:そうですね。見た目が映える商品ではなく、形のないサービスや外見からは内部構造が見えない製品などを扱っている企業様は、どのように自社の製品をアピールしたらいいか悩まれることが多いんです。そんなときこそモーショングラフィックスを使っていただきたいですね!
モーショングラフィックスの動画を制作するにあたって、まずは商品のヒアリングを行います。社内の営業・広報・開発担当者などあらゆる方々のお話を伺い、どんな表現がいいかを一緒に考えていきます。
モーショングラフィックスの素材としては、たとえばプレゼン資料を活用することも。デザインがまとまったら、それをより効果的に見えるようモーション(動き)をつけていきます。モーショングラフィックスはイラストで図解化できるので、まさに「動く営業プレゼン資料」として活躍してくれます。
モーショングラフィックスを内製化するメリットは?
杉本:モーショングラフィックスを社内で内製化するとどんなメリットがあるのでしょう?
北川:企業にとって必須事項であるSNS発信を、より加速化させることができます。SNSを日々投稿するのは決して簡単ではありません。こまめに投稿するためにコツコツとコンテンツを作っておく必要があります。たとえば2、3カ月に1回、動画広告やキャンペーンCMなど、「ここぞ!」というときには専門の制作会社に外部委託するのがおすすめです。けれど、フォロワーやチャンネル登録者数を増やすために定期更新しよう…となればコストもかかり大変ですよね。
継続的にYouTubeやInstagram、Xなどでの発信をするなら、社内に専任の担当者を置く必要があります。効果的に動画広告を打ちたいといった場合でも、日々どのくらい公式SNSの場を温めておけるかが大きなカギを握ります。会社の規模によりますが、戦略を立て発信をする広報・マーケティング部門と動画を含め販促物を作る制作部門で役割を分けているケースが見られますね。
杉本:日々のSNS投稿にも活用できるんですね。この他にはどんなメリットが?
北川:近年増えているのが、動画を使った社内報の発信です。動画を使って社長の声を発信したり、社内イベントを紹介したり、採用者の自己紹介をまとめたり、さまざまな使い方ができます。社内で全社員が閲覧できるように公開することで、別部署の社員がより身近な存在となり、交流するきっかけにもなりますよね。
この他ですと、決算説明など重要な発表で使うパワーポイント資料(インフォグラフィックス)の円グラフを動かすなど、よりリッチにカスタマイズすることも可能。また、動画を使って社内マニュアルを作成し、実写にモーショングラフィックスを組み込んだり、画像を動かしたり、よりわかりやすくまとめることができます。
モーショングラフィックスの動画制作は、新たに人を採用しなくてもできる?
杉本:自社でスムーズに動画制作できるなら便利ですね!新たな採用をせずとも社内で内製化できるのでしょうか?
北川:動画制作を担当される方の適性を見極め、業務時間の中でしっかり学習時間を設けることを前提にするなら、できると思います。適性を見極めるには、その人についてよく知ることが大切。たとえば、普段からよくアプリを使っているとか、資料作りが上手だとか、そのような特性があれば動画制作に楽しくチャレンジできるのではないでしょうか。
ただ、現状の業務量を変えずに任せるのはかなり無理があります。100%のうち、何%をモーショングラフィックスの制作に充てるのか明確にすることが重要です。他の業務と兼任されている場合、チーム全体で増えた仕事量を加味して適正に調整する必要があります。学習時間についても、「家で勉強しておいて」なんて曖昧なことにならないよう業務時間内の何時間を使うのか、いつまでにどのくらいレベルまで習得するのかきちんとすり合わせしておくとよいでしょう。
杉本:内製化するにあたり、担当者をどなたにするかが重要なんですね。
北川:先にもお伝えしたように、動画制作には適性があります。向いている方にご担当いただくことが、会社・社員の方の双方にとってwin-winとなります。そうなるためにも、日頃から社員の方々と積極的にコミュニケーションをとり、業務や会話からしっかり適性を読み取れるといいですね。
日頃から動画制作に関心があるかどうか、好きかどうかなど、面談を通じて本人の意思を確認することも大切です。
モーショングラフィックスを制作するために必要なスキルとは?
杉本:モーショングラフィックスを使った動画を制作するためには、どんなスキルが必要でしょう?
北川:たとえば実写の動画編集をする際には、Adobe Premiere(有料)、モーショングラフィックス制作に関しては、Adobe After Effects(有料)という定番のソフトがあります。この2つを扱えるとベストだと思います!そもそもAdobeのサービスはユーザー数が多く、YouTubeでのチュートリアルが多いため学びやすいのもポイントです。
この他スマホアプリでも動画制作は可能なのですが、毎日の作業となるとやはりパソコンでの作業がおすすめです。パソコンは画面も大きいですし、キーボードを使った方がスピードは断然速く進みます。
定番ソフトの扱いができることに加え、ものごとを図解化できる、説明が上手、パソコンやソフトに詳しいといった人は動画制作に向いていると思います。編集ソフトは1年くらい学ぶことで使えるようになると思いますが、新しいもの好きな方だと、自ら進んで習得できるのではないでしょうか。
専門スキルを持つ人材の育成についてメリット・デメリットは?
杉本:適性があったうえで、スキルもどんどん積み重なっていったら楽しいでしょうね!そんな専門スキルを持つ人材を育成するにあたって、会社側のメリットはどんなものが考えられるでしょう?
北川:まず大きなメリットとして、採用コストが不要であり、自社のことをすでに理解してくれている人材に制作してもらえる点が挙げられます。自社の社員なので日々のコミュニケーションも取りやすく、育成しながらコツコツ小さく始められます。
新しく人材募集をして採用するわけではないので、会社説明なども不要。自社のマインドや扱うサービスもよく理解していただいているので、その面ではスムーズに取り組んでいただけるでしょう。
杉本:では、デメリットはどんなものが考えられますか?
北川:やはり、育成に相応の時間がかかってしまうのがデメリットといえます。個人的なイメージですと、動画制作の基礎を学ぶには最短で3カ月~1年くらいはかかるのではないでしょうか。また、適性の不一致が発生した場合、離職につながってしまうのもリスクの一つといえるかもしれません。
社内に育成スキームがない。どうしたらいい?
杉本:将来的なことを考えて育成をしたいが、社内には教えられる人がいない場合、どうすればいいのでしょうか?
北川:最近では、社会人向けの教材やスクールが増えているので、それらを使って学習することはできます。ただし、悪質な情報商材も増えているので注意が必要です。実際にどのような教材やスクールを選ぶのかは、周りやインターネットでの口コミを確認したり、講師の方がどんな方なのかリサーチしたりしてから選ぶとよいでしょう。
学ぶにあたり、個人でも、法人(会社持ち)でも申し込み可能なものもあります。先ほどもお伝えしたとおり、会社としても学習時間をしっかり設けること、そして教材やスクールの受講費も会社の研修費用として捻出することなどもご検討いただくとよいと思います。
杉本:おすすめの教材があれば教えてください。
北川:例えば、初心者向けのYouTubeチャンネル(無料)があります。今ではYouTube動画も非常に内容が充実しています。わかりやすくまとめられているので、ぜひご覧いただくとよいでしょう。
サンゼの After Effects 教室
https://www.youtube.com/@sanze-studio
Putti Monkey Wrench
https://www.youtube.com/@PuttiMW
After Effects Overdrive
https://www.youtube.com/@AfterEffectsOverdrive
この他には、単体で教材を販売しているプラットフォームとして「コロソ」「Udemy」などもおすすめです。
コロソ
https://coloso.jp/category/117
Udemy
https://www.udemy.com/courses/search/?lang=ja&q=After+Effects&sort=relevance&src=ukw
月額制オンラインスクールとしては、代表の北川がメンターとして活動しているVookschoolモーショングラフィックスコース(月額制)もあります。会社から社員研修として参加されている方もいらっしゃいます。
Vookschool モーショングラフィックスコース(月額制)
https://school.vook.vc/motion-graphics
社内には適性者がいない!専門スキルのある方をどうやって採用したらいい?
杉本:社内で動画制作ができそうな適性のある方が見当たらない場合もあると思います。専門スキルのある方をどのように採用したらいいでしょう?
北川:まずは求人サイトを利用してみることがおすすめです。例えば、映像業界に特化した求人サイトとして「Vookキャリア」があります。
https://career.vook.vc
上記は東京近辺の求人が多いので、地方拠点の企業様の場合は勤務地近隣の方からの応募に強い「Indeed」がいいのではないでしょうか。「地域名+職種」などで検索すればヒットしますので、自宅近くで働きたい方などの応募も見込めます。
また、最近はモーショングラフィックスや動画に特化したイベントも増えています。モーションデザイナーが集まるイベントにスポンサーとして参加するのも効果的な一つの手段です。学びへの熱意がある方に出会えるでしょう。
この他、自社のホームページやブログなどに求人情報を掲載しておくことも重要です。この情報を見て応募してくださる方は、自社のことを分かったうえで応募している、つまり自社との親和性、共感度が高いと言えます。また、社内の人材からの紹介や口コミであれば、応募者への信頼感、安心感もあります。
採用条件として注意したいのは、デザインもできる必要があるのかどうかです。モーショングラフィックスと一口に言っても、デザインと動きで分業されている方もみえます。モーショングラフィックスを制作するにあたってデザインもお願いしたい場合、デザイン系のツール(illustrator、Photoshopなど)も使える方を条件にするとよいでしょう。
専門スキルのあるクリエイターを採用するにあたってメリット・デメリットは?
杉本:専門スキルのあるクリエイターを新たに採用したい場合、メリット・デメリットはありますか?
川:メリットとしては、クリエイティブスキルがありながら、共通した企業理念を持ち、自社商品・サービスへの理解を高められることがあげられます。専門スキルを持っているため、社内でクオリティの高い動画制作が可能です。
動画をコンスタントに制作できれば、企業のSNS発信の頻度や幅が広がるでしょう。この他、それまでの経験によりますが、プレゼン資料やチラシなど、動画制作以外のクリエイティブな仕事もお願いできる可能性があります。
一方、デメリットとしては、採用コストの増加、人件費の増加があげられます。そもそも先輩や上司がいないため、過去の経験をもとに自ら制作できる人を採用する必要があります。
先にお伝えしたように、制作会社からインハウスクリエイターに移りたいというクリエイターも増えているので、うまくマッチすればとても心強い存在になりますね。
まとめ
モーショングラフィックスを社内で内製化することは可能ですが、兼任の場合はしっかりと学習時間を確保し、いまある業務の割合調整などもしたうえで取り組むことが大切です。専任の場合、先輩などがいない状態で一から育てるのは難易度が高いため、求人サイトなどを使い、専門スキルを持つクリエイターを採用するのも一つの手段です。
もし、モーショングラフィックスと自社サービスとの相性を確かめたい場合、まずは1本外部委託で作ってみるということもおすすめです。1コマでも、モーショングラフィックスを使った動画制作のお引き受け実績があります。質問、疑問点などありましたらお気軽に1コマへお問い合わせください。
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